自分の性格に関しては、昔から「はやりすたり」等あまり意識せず、「興味を持ったものをひたすら掘り下げる」姿勢だと思ってます。
例えば模型用の工具やマテリアルなんて、本来ニッチすぎてなかなかスポットライトを浴びるものではないわけですが、掘り下げた結果、今のお店が出来上がりました。
ただ、この数年のSNSの浸透により、最近はどうもその掘り下げ方が少し薄っぺらくなったなと自覚しています。
SNSの最大の強みは、短い文章で広告宣伝的なインパクトを残すことができる点ですが、ではその弱みは何かというとやはり情報量です。本来、情報量はお客様の判断にとても大事。でも果たしてお客様は、インパクトとその情報量、どちらを重視するのでしょう。
そんなわけで、たまには新しい商品を掘り下げてご紹介させていただきたいなと思うわけです。
今回はまず、シモムラアレック - リバースピッカー(ピック型ステンレス両面ヤスリ)というツールから。
非常に面白いヤスリです。
サイズや形状もギターのピックとほぼ同等でコンパクト。このサイズの金属ヤスリはあまりありません。
通常金属ヤスリというと、長い柄(グリップ)と長い研磨部の棒状で、柄を握ってその反復作業により切削を行うというものですが、このリバースピッカーはその名の通り「ピック」形状で小さい。
全方向で削れる、という部分では紙やすりやダイヤモンドヤスリなどと似てるんですが、いずれとも異なるのは、硬くて薄いステンレス製であること。
またもうひとつは、裏表に異なる番手のエンボス状ヤスリ目があるので、作業面での効率化を図ることができる点。
紙ヤスリだと強度が足りなくて狭い箇所の研磨ができなかったりしますが、リバースピッカーは先がとがった部位を使って削る作業も可能。
また、敢えて使い分けやすくなるよう、エンボス目が打たれている箇所が狭い箇所と広い箇所に分けられているのも良く考えられたデザインだといえます。
弱点になる点といえば、番手が#240相当と#600相当でやや粗い点と、0.3mmという薄さを活かした狭い箇所を削る際、両面なので削りたい側ではない方まで削ってしまう事、そしてサイズが小さすぎて、作業スペースで見失いやすい点。
ただ、こういったデメリットと思われる点は、必ずしもデメリットと言い切れるものではありません。
例えば狭い箇所をがりがり削る強力な研削力はこれまでなかった点ですし、両面を削りたい場合には時短になります。また工作作業スペースや工具を置いておく場所が狭かったり無い方にとっては、これほどかさばらないツールはありません。
つまりツールは、使う方次第でメリットもデメリットに、デメリットもメリットになりうるという訳です。別の言い方をすると、書き方次第で良くも悪くもなる、とも言えます。
実はこのリバースピッカーの前にシモムラアレックさんから出ていたのがシモムラアレック - フェザーヤスリ(超狭小用スキマヤスリ)という製品です。
こちらは両面に同じエンボスで同等番手が施してあり、こちらには柄が付いていますね。これは隙間箇所専用として使えるよう特化したのこぎり的な使い方をするようになっているわけです。
実際使ってみますと、今までの金属ヤスリの感覚に近いのでこちらの方が使いやすいという方も多いハズ。また筒状の入れ物に差して管理もできるので、見失うこともありません。
逆に、デメリットは・・・というと、隙間箇所は削れますが、横にするとコーナー部には刃が入っていかない点や、また持ち手部分があることで一定方向・一定部位での研磨が多くなり、その結果比較的決まった部位しか使えない点・・・なんかかもしれませんね。
こんな風に考え方、書き方ひとつで、メリットだったはずの部分もデメリットに見えてきます。
例えば、短い文章が中心のSNSでは、ここまでの情報量は伝えられません。
その代わりにインパクトのある短い文章でメリットを伝えられるので広告宣伝向けではありますが、逆に沢山の情報を伝えられない。それに流れていくタイムラインは時間と共に他の新しい情報に埋もれていくので、情報量で掘り下げることには向いていません。こういう両面でものを見る必要があります。
ツール選びについてはここでも再三書いていますが、ここではインパクトと情報量、どっちを重視しても構いません。
大事なのは選んでからの掘り下げ方で、メリットもデメリットも体得し、使い込んで自分の中のそのツールの情報量を上げていくことなんでしょうね。
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